渡さんの代表作として今なお語り継がれるのが、『大都会』シリーズや『西部警察』といった金字塔的テレビドラマだ。激しい爆破シーンやスピード感溢れる格闘が展開される力強いアクション映画さながらのスケール感は、当時の視聴者を釘付けにした。その熱狂の渦中にありながら、長男として生まれた渡貴士氏のプライベートは徹底して保護されていた。
過激な取材合戦が当たり前だった昭和の時代にあって、渡さんは息子の写真やプライベートな情報をメディアに出さないよう細心の注意を払っていた。学校の行事にも可能な限り顔を出し、一人の父親として息子に向き合い続けた。派手な演出が施された画面の向こう側の世界と、家庭内での穏やかな父子の時間。その明確な一線を画す態度は、息子に対する深い愛情の証でもあった。