2010年代の音楽シーンを語る上で、アルバム『AM』の登場は決定的な瞬間だった。独立系レーベルであるドミノ・レコーディングからリリースされた本作は、全英チャート初登場1位を獲得し、イギリス国内だけでミリオンセラーを達成。それまでのインディー・ロックが抱えていた限定的なイメージを軽々と打ち破り、世界中のスタジアムを熱狂させる巨大な原動力となった。
特筆すべきは、その革新的な音作りだ。クラシックなヒップホップや90年代のR&Bからインスピレーションを得たドラムトラックに、歪んだ重低音ベースが絡み合う。伝統的なギターバンドの骨格を保ちながら、全く新しい手触りのサウンドを生み出した。世界中の音楽・エンターテインメント産業がデジタルシフトへと大きく旋回する最中、彼らはフィジカルなグルーヴの強靭さを世界に見せつけたのだ。