妹である吉本ばななが名作『キッチン』で鮮烈なデビューを果たし、瞬く間に世界的な文学的現象となった当時、姉妹の間にはどのような空気が流れていたのか。周囲の狂騒とは裏腹に、二人の間には互いのクリエイティビティを心から尊重し合う対等な関係が存在していた。
同じ家庭環境で育ちながらも、紡ぎ出す物語の世界観は鮮やかな対照を見せる。感覚的かつ普遍的な透明感を持つばななの文体に対し、ハルノ宵子の文章は土の匂いや生活の痕跡を感じさせるタフさに満ちている。互いの資質の違いを認め合い、付かず離れずの絶妙な距離感を保ち続ける関係性こそが、天才姉妹と称される二人の真の強さだ。