こうしたコンプレックスに付け込む形で、ネット広告やSNSのインフルエンサーの間で定期的にバズを生んでいるのが、強力な補正下着や紐で締め上げる「コルセット」を用いた手法です。ネット上では「コルセットを毎日巻き続ければ肋骨が内側に矯正され、アンダーバストが劇的に細くなる」といった言説がまことしやかに拡散されています。しかし、この肋骨締めコルセット効果を盲信することには、解剖学的に見て極めて重大な落とし穴が存在します。
第一に、外圧によって一時的に胸郭を圧迫しても、それは外部から縛り付けているだけに過ぎず、自らの筋肉で肋骨を保持する力は一切養われません。むしろ、強力なコルセットに体幹の支持を依存し続けると、本来肋骨を正しい位置に引き留める役割を持つ「腹横筋」や「内腹斜筋」が使われなくなり、筋力低下(廃用性萎縮)を加速させます。結果として、コルセットを外した瞬間に胸郭が以前よりも無防備に開き、かえってリブフレアが悪化するというリバウンド現象に陥ります。
第二に、健康面におけるリスクです。肋骨内部には肺や心臓、胃、肝臓といった生命維持に直結する重要臓器が収まっています。無理な締め付けは横隔膜の動きを物理的に阻害し、呼吸を著しく浅くさせるだけでなく、胃食道逆流症や内臓下垂、消化不良を引き起こす要因となります。プロの立場から明言すれば、骨格を外圧で無理やり変形させようとするアプローチは対症療法にすらならず、長期的なボディメイクにおいては明確に避けるべき危険な選択肢です。