ネットの掲示板やSNS上では、「固まったらマウスを激しくクリックしまくる」「Enterキーを連打すると動き出す」といった荒療治がまことしやかに語られることがあります。しかし、大手企業の情シス担当者や現場のPC修理エンジニアは、こうした行為に強い警鐘を鳴らしています。
都内大手SIerで社内インフラ保守を担当するシニアエンジニアは、現場の実態について次のように証言します。
「ユーザーから『PCが固まったから画面をクリックしまくっていたら、真っ白になって余計に動かなくなった』というヘルプコールが頻発します。OSにはクリックやキー入力を一時的に記録する『メッセージキュー(入力バッファ)』が存在します。フリーズ中にマウスを連打すると、処理が滞っているキューに何百回もの無駄な割り込み命令がギッシリと積み重なり、負荷をさらに爆発させてしまうのです。結果として、待っていれば戻ったはずの軽微な遅延を、完全なプロセス停止へと自ら追い込んでしまっています」
心理学的に見れば、画面が反応しないことへの強い不安とストレスが、無意識に「何かしらの入力を繰り返す」という過剰行動(アクション・バイアス)を誘発させます。しかし、PCの構造上、フリーズ時の乱打は百害あって一利なしの行為です。反応が途絶えたらまず「両手をキーボードとマウスから離す」という自制こそが、最速で復帰させるための鉄則です。