半保存的複製はなぜ半分残る?メセルソン実験の真実と計算完全攻略

半保存的複製はなぜ半分残る?メセルソン実験の真実と計算完全攻略

半保存的複製はなぜ半分残る?メセルソン実験の真実と計算完全攻略についての疑問解決ガイドをご紹介します。

Q1:なぜ「全保存的複製(保存的複製)」では生命にとって不都合だったのですか?
A1:仮に元の二重らせん構造を完全に保ったまま複製(保存的複製)しようとすると、二重らせんの内側に隠れている塩基対の水素結合を外側から読み取るという、物理的・立体配座的に極めて困難な作業を強いられます。二重らせんをほどいて塩基をむき出しにし、直接手本(鋳型)として相補的な鎖を作る半保存的複製の方が、生化学的なエネルギー消費が少なく、複製の正確性(フィデリティ)を担保する上で圧倒的に有利だったと考えられています。

Q2:メセルソンとスタールの実験で、放射性同位体ではなく安定同位体15Nを使ったのはなぜですか?
A2:放射性同位体(例えば32Pや35Sなど)は放射線の放出(崩壊)を追跡するマーカーとしては有用ですが、崩壊に伴って原子核が変化するためDNA分子の密度そのものを精密に測定する実験には向きません。メセルソンらは「放射能の有無」ではなく、中性子が1つ多いことによる「純粋な質量の差(約1%の密度差)」を塩化セシウムの密度勾配遠心法で分離・視覚化することを目指したため、安全で質量が安定している15Nが採用されました。

Q3:PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)も半保存的複製と同じ仕組みですか?
A3:根本的な原理は同一です。PCR法は、熱によってDNAの二重らせんを1本鎖に解離(変性)させ、人為的に設計したプライマーを結合させてDNAポリメラーゼに相補鎖を合成させる技術です。試験管の中で行われるPCR法も、1本の鋳型鎖から1本の新鎖を合成して2本鎖にするため、半保存的複製のメカニズムを工学的に応用したものといえます。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。