SNSや口コミサイト(OpenWorkや知恵袋など)を検証すると、「上司の恣意的な評価に絶望した」「配属先が恣意的に決められている」といった不満が日常的に噴出しています。なぜ組織の運営において、これほどまでに恣意的な解釈とネットの反応が摩擦を生み続けるのでしょうか。
人間が無意識に恣意的な判断の理由を作ってしまう背景には、認知心理学でいう「確証バイアス」と「感情ヒューリスティック」が深く関わっています。人間は無意識のうちに、自分が好感を持つ部下や賛同したい意見に対して都合の良い材料ばかりを拾い上げ、相反するデータを無意識に無視します。評価シートに客観的な数字が並んでいても、最終的な判定コメントを書く段階で「本人の意欲」「協調性」といった曖昧な定性基準に逃げ込み、自分の直感を正当化してしまうのです。
現場の管理職へのヒアリング取材でも、次のような生々しい本音が聞こえてきます。
「数字だけで切ると現場のモチベーションが崩壊するため、最終的には『日頃の姿勢』という曖昧な枠組みで帳尻を合わせざるを得ない」(大手製造業・40代部長)
こうした「現場を守るための温情」のつもりで行われる裁量こそが、受け手側からは不透明極まりない「恣意的な運用」として映り、組織への信頼を根底から破壊する引き金になります。