現代の日本社会は、かつてないほど「倫理的な正しさ」と「クリーンさ」を求めている。SNSでの発言ひとつで炎上し、過剰なバッシングを受けるリスクと隣り合わせの日常において、人々は無意識のうちに完璧な人間像を演じることを強いられているのだ。
臨床心理士の佐藤健太郎氏は、このトレンドを社会的な防衛本能の一種だと分析する。「過度なコンプライアンス意識と『良い人』でいなければならないという圧迫感が、若者たちの精神を追い詰めています。あえて自分から『最低』だと自白することで、他者からの批判を先回りして回避し、同時に自分の弱さをさらけ出すセラピー効果を得ているのです」
完璧であることを求められる世界の中で、「自分は完璧でも善人でもない」と宣言することは、若者たちにとって一種の安全弁として機能している。自虐という形をとった、極めて現代的な自己防衛なのだ。