『Prize』が世に出た当時、文壇や出版関係者の間で最も話題を集めたのが「登場人物の実在モデルは誰なのか」という議論でした。著者の村山由佳氏自身が、1993年に『天使の卵』で小説すばる新人賞を受賞してデビューし、その後直木賞候補に名を連ねる中で体験した文壇の空気が、色濃く反映されていることは想像に難くありません。
大手出版社・集英社の文庫本としても長く読み継がれている本作ですが、作中に登場する老舗出版社の編集長や、文壇に君臨する選考委員のキャラクター造形があまりにも生々しく描かれています。関係者の間では「あの敏腕編集者がモデルではないか」「選考委員のあの描写は某大御所作家の癖そのままだ」といった憶測が飛び交いました。
フィクションでありながら、実話に基づいていると錯覚させるほどのリアリズムこそが、本作が単なるエンタメ小説を超えて「問題作」と呼ばれる最大の理由です。