国宝・阿弥陀三尊像を祀る「往生極楽院」は、この寺院の魂とも言える建築だ。平安時代末期に建立されたお堂の中に足を踏み入れると、天井に描かれた天女や菩薩の彩色の記憶が、ほの暗い空間に揺らめく。
極楽浄土を地上に再現しようとした先人たちの執念。両脇に坐す観音菩薩と勢至菩薩が、前傾姿勢で今にも立ち上がらんばかりの姿で祈りを捧げている。それは死への恐怖をやわらげ、来世への希望を抱かせるための造形だった。
一千年の時を超えて、その眼差しは現代の不安に直面する私たちにも注がれている。静寂のお堂に坐していると、時間の感覚すらも曖昧になっていく。