彼がこれほどまでに忌み嫌われ、同時に人々の記憶にへばりついて離れない最大の理由は、彼が「世界を滅ぼす悪魔」や「冷酷な犯罪者」ではないという点にある。どこにでもいる普通の高校生であり、欲望に忠実で、それでいて面倒な修羅場からは全速力で逃げ出す。その「ありふれた弱さ」が、結果として周囲の人間を精神的に追い詰め、悲劇的な破局へと導いていく。
「自分は誰も傷つけたくない」という自己弁護の裏に隠された、徹底的な主体性の欠如。対話による解決を放棄し、その場の居心地の良さや一時的な感情の波に流される姿勢は、暴力的な直接攻撃よりもかえって残酷だ。視聴者が感じる不快感の正体は、過激な惨劇そのものよりも、彼が振るう「無自覚な選択の先送り」という凶器に対する生理的な拒絶反応なのだろう。