貞光地区を歩くと、まるでタイムスリップしたかのような感覚に陥る。商家の屋根の端に見られる防火壁「うだつ」。つるぎ町のそれは、全国的にも珍しい「二層うだつ」と呼ばれ、豪華な装飾が施されている。かつて藍や繭の取引で栄えた町の富の象徴だ。
この歴史的な景観が今、新しいクリエイティブの拠点として生まれ変わっている。古い民家をリノベーションしたカフェやシェアオフィス、ギャラリーが点在し、都市部から移住してきたデザイナーや作家たちが活動を始めている。古い歴史の殻の中に、新しい感性が吹き込まれることで、町並みは単なる保存対象ではなく、生きたコミュニティとして呼吸を続けている。