多くの店舗が導入し始めているのが、入店時にスマートフォンを専用のボックスに預けるというユニークな試みだ。最初は手持ち無沙汰そうにする客も、前菜が運ばれてくる頃には目の前の景色に没頭し始める。写真映えを狙うためのカメラレンズ越しではなく、自分の肉眼で料理の美しさを見つめ直す。このシンプルな行為が、脳の緊張を驚くほど解きほぐしていく。
「最初は不安でしたが、スマホがないだけで、料理の味や木々のざわめきがこれほど鮮明に感じられるとは思いませんでした」と、都内から訪れた30代の女性は語る。情報過多の現代において、意図的に遮断された環境こそが最大のサービスなのだ。