かつての角振町は、近鉄奈良駅からほど近い利便性を持ちながらも、観光ルートからは外れがちな静かなエリアだった。しかし、2025年後半から始まった空き家再生プロジェクトが、この街の運命を大きく変えた。歴史的な格子戸や土壁を残しつつ、内装にインダストリアルデザインを取り入れた店舗が次々とオープンしている。
「古いものを壊すのではなく、その記憶の上に新しい価値を乗せる」。ここでセレクトショップを営む店主は語る。並ぶのは、奈良の伝統産業である蚊帳生地を使ったモダンなアパレルや、地元の土で焼かれた現代アートのような器たちだ。新旧が衝突するのではなく、静かに溶け合う光景がここにはある。