杏の俳優キャリアは、モデルとしての華々しい実績を土台にしつつ、着実に地道なバイプレイヤーからスタートしました。2007年のテレビドラマデビュー以降、彼女が演じるキャラクターは「自立した芯の強い女性像」を中心に進化を遂げています。
初期の代表作である『名前をなくした女神』(2011年)では、幼稚園のママ友コミュニティに潜む嫉妬と悪意に翻弄されながらも家族を守り抜く母親役を熱演。モデル出身という先入観を覆す泥臭いリアルな感情表現が業界内外で高い評価を受けました。その後、NHK大河ドラマ『平清盛』(2012年)での北条政子役など、歴史の転換点に立つ堂々たる女性像を演じ分け、主演級女優としての基礎を固めていきます。
キャリアの決定的な転換点となったのが、2013年後期のNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』です。食を通じて激動の大正・昭和を生き抜くヒロイン・め以子を圧倒的なエネルギーで演じきり、全世代からの支持を獲得しました。続いて2014年・2015年に放送された『花咲舞が黙ってない』シリーズでは、理不尽なメガバンクの不正に立ち向かう痛快な銀行員を好演し、名実ともに看板女優としての地位を盤石にしました。
近年では『偽装不倫』(2019年)、『日本沈没-希望のひと-』(2021年)、そして月9初主演となった『競争の番人』(2022年)と、社会派テーマを内包したエンターテインメント作品で独自の立ち位置を築いています。