大手コミュニティサイトやSNSを調査すると、「排水溝が詰まるほど抜けて絶望した」「毛根が白くてカサカサしているのは異常事態か」といった悲痛な投稿が後を絶ちません。現場取材でも、抜け毛の根本に付着した物質を見て「頭皮の脂が毛根を窒息させて抜けた」と誤認し、過剰な皮脂除去ブラシで頭皮を痛めつけるケースが散見されます。
抜け落ちた毛の根元を観察したとき、抜け毛の毛根が白いか黒いかの違いを正しく理解しておく必要があります。毛根先端部が丸く膨らみ、透明から乳白色のゼリー状物質に包まれている状態は「毛根鞘(もうこんしょう)」と呼ばれる正常な組織です。これは毛髪が十分に寿命を全うし、休止期を経て自然に脱落した動かぬ証拠であり、病的な異常ではありません。
警戒すべきは、むしろ「毛根が黒いまま抜けている毛」や「毛根の膨らみが全くなくマッチ棒のように細い毛」です。毛根が黒いということは、メラニン色素の供給が止まるべき自然な休止期を迎える前に、血流不全や強い炎症によって成長途中で無理やり引っこ抜かれたことを示しています。また、毛根のくびれがなく先細りしている毛髪は、十分な太さに育つ前に成長期が打ち切られた「短縮毛」であり、薄毛が水面下で進行している明確なシグナルです。