アパレルECの現場を取材すると、購入者が「推奨サイズ」を選んでいるにもかかわらずサイズ破綻を起こす構造的な罠が浮かび上がってきます。
最大の要因は、ブランドや型番ごとに「S・M・L」の定義が完全にバラバラである事実を軽視してしまう点です。JIS規格(日本産業規格)によるサイズ設計は存在するものの、近年のファストファッションやインポートブランド、国内ドメスティックブランドはそれぞれ独自のターゲット層に合わせたグレーディング(寸法ピッチ)を採用しています。海外規格の「M」は日本規格の「L〜XL相当」に達することも珍しくありません。
さらに、消費者側の心理的な思い込みも失敗を助長します。「自分は昔からMサイズだから」という固定観念に縛られ、製品詳細ページの実寸(cm)を一切確認せずにカートへ入れるユーザーが後を絶ちません。実際にEC利用者のトラブル報告を精査すると、「肩幅が広めの体型なのに袖丈の数値しか見ず、着てみたら袖が手首より5cmも短かった」「オーバーサイズ設計の服を普段通りのサイズで買い、袖が指先まで余ってしまった」といった悲鳴が頻発しています。
正しい袖丈の測り方を実践するには、自分自身の身体を直に測るのではなく、「今持っている服の中で最も完璧にフィットしている1着」を平置きして測るのが最も確実な防衛策です。人体をメジャーで正確に自己計測するのはプロでも難易度が高く、姿勢のブレによって2〜3cmの誤差が容易に生じるからです。