函館市内には数多くの温泉銭湯が点在していますが、その中でも花園温泉が長年にわたり特別な存在として語り継がれる最大の理由は、浴槽から惜しげもなくあふれ出る上質な源泉かけ流しの鮮度と、妥協のない温度設定にあります。
浴室の扉を開けた瞬間に鼻腔をくすぐる特有の鉱物臭と、微かに黄色から淡褐色を帯びた透明感のある湯は、泉質名で言えばナトリウム・カルシウム-塩化物泉。塩分を豊富に含むため、湯に浸かった瞬間に皮膚へぴたりと吸い付くような浴感があり、高い保温・保湿効果を発揮します。湯冷めしにくく、冷え性や関節痛、日々の疲労回復に対して「入ればすぐに違いがわかる」と地元住民から絶大な信頼を集めてきました。
とりわけ愛好家の間で有名なのが、通称「熱湯(あつゆ)」と呼ばれる高温浴槽です。一般的なスーパー銭湯が41℃〜42℃前後に抑えるのに対し、花園温泉の熱湯は約44℃〜45℃に達することもあり、最初は足を入れるだけで皮膚がチリチリと引き締まる感覚を覚えます。しかし、身体を沈めて数分耐えた後に訪れる深い脱力感と血行促進の爽快感は格別で、「この熱さでなければ一日が締まらない」と語る常連が後を絶ちません。適温に調整された主浴槽や気泡風呂も併設されており、入浴者の体調や好みに応じた入り分けができる設計も長寿銭湯ならではの配慮です。