日本全国の数ある名所の中でも、歴史的由緒と圧倒的な景観美を誇る代表的なスポットには、それぞれ訪れる者を惹きつけてやまない独自の魅力が存在します。
1. 水戸偕楽園梅まつり(茨城)
天保13年(1842年)、徳川斉昭によって「民と偕(とも)に楽しむ」場として開園された偕楽園は、日本三名園の名に恥じない雄大なスケールを誇ります。100品種を超える梅が植栽されており、早咲きから遅咲きまで約1カ月半にわたって絶え間なく花が咲き継ぐ点が最大の特徴です。好文亭の眼下に広がる千波湖と紅白の梅林が織りなすパノラマは圧巻の一言に尽きます。また、近年定着した夜間ライトアップイベントでは、幽玄な光に浮かび上がる古木が昼間とは全く異なる幻想的な空間を演出します。
2. 湯島天満宮梅まつり(東京)
学問の神様として菅原道真公を祀る湯島天神は、江戸時代から庶民に親しまれてきた都心きっての名所です。境内には白加賀を中心に約300本の梅が植えられ、朱塗りの社殿や石造りの鳥居との対比が見事な調和を見せています。都心の一等地に位置しながら、一歩足を踏み入れれば馥郁たる花の香りに包まれる贅沢な環境です。まつり期間中の週末には奉納演芸や野点が行われ、江戸情緒を色濃く残す賑わいを肌で感じ取ることができます。
3. 北野天満宮梅苑(京都)
全国に約1万2000社ある天満宮・天神社の総本社である北野天満宮。境内西側に広がる梅苑「花の庭」は、約2万坪の広大な敷地に約1,500本が咲き乱れます。特筆すべきは、散策路を歩くことで梅の香りを立体的に体感できる立体的なランドスケープ設計です。茶屋で提供される梅昆布茶と老舗の和菓子に舌鼓を打ちながら、御土居(おどい)の遺構越しに眺める梅の枝ぶりは、古都の雅やかな歴史情緒を凝縮した景観といえます。
4. 太宰府天満宮の飛梅(福岡)
菅原道真公を慕って都から一夜にして飛来したという伝説を持つ御神木「飛梅(とびうめ)」。本殿(現在は仮殿)の右前に鎮座するこの白梅は、極早咲き品種として知られ、毎年1月中旬から2月上旬にかけていち早く見頃を迎えます。広大な神域には九州各地から集められた約6,000本もの梅が点在しており、飛梅を皮切りに境内全域が次々と色づいていく様は、西日本随一の壮大な春の訪れを物語っています。