日常会話において最も議論を呼ぶのが、「おはようございますは何時まで使えるか」という使用限界の判断です。
海外の代表的な日本語教育機関(PrepScholarやCoto Academy、FluentUなど)が公表している学習指針では、一般的な目安として「午前10時(または10時半)」を境界線と定めています。午前10時を過ぎた段階で「こんにちは」へとシフトするのが、学校教育や一般的な対面コミュニケーションにおける共通認識となっています。
一方で、ビジネスシーンや特定産業では全く異なる運用が定着しています。その代表例が、芸能界で夜でもおはようございますと言う理由です。
テレビ局や舞台の現場、映画の撮影所では、昼夜を問わず不規則なスケジュールで稼働します。夜の収録であっても、出演者やスタッフにとっては「その日最初に対面する仕事始め」となります。時間を基準に「こんばんは」と声をかけると、業務終了時やプライベートなニュアンスを帯びてしまい、仕事への意識の切り替えが曖昧になるという懸念から、「本日も一日よろしくお願いします」という職務開始の宣誓として「おはようございます」が終日用いられるようになりました。この慣習は24時間稼働の工場、警備業界、飲食店、ITの監視運用現場など、交代制シフトを敷く職場全般にも深く定着しています。