JCBがロシア市場での業務停止という重大な経営判断を下した背景には、地政学的リスクの高まりと、国際的な金融包囲網への準拠という2つの決定的な理由が存在します。
2022年2月下旬の軍事侵攻開始直後、アメリカ主導のもとでVisaおよびMastercardが即座にロシア事業の停止を宣言しました。これに追随する形で、日本政府もロシア主要銀行の資産凍結や国際金融決済網からの排除を決定。JCBとしても、グローバルに事業を展開する国際ブランドとしてのコンプライアンス順守、および決済オペレーションの継続困難という現実に直面しました。
公式発表資料および関係筋の取材によると、停止に至った主な構造的要因は以下の通りです。
第一に、ロシアの主要銀行が国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除されたことで、カード決済に伴う国際的なクリアリング(清算業務)が物理的に不可能となった点です。第二に、制裁対象となったロシア金融機関との取引継続が、アメリカやEUなどの二次制裁(セカンダリー・サンクション)に抵触するリスクを極めて高くした点が挙げられます。