つぶ貝(エゾバイ科の大型巻貝類の総称)を家庭で安全に調理するうえで、最も警戒すべきリスクが唾液腺(通称:アブラ)に含まれるテトラミン食中毒です。市場や居酒屋の現場では古くから「アブラにあたる」と表現されますが、このアブラは脂肪分ではなく、神経伝達を阻害する有毒成分を含んだ器官を指します。
テトラミンを摂取すると、食後30分〜2時間程度で後頭部の激しい頭痛、めまい、酩酊感(酒に酔ったようなふらつき)、視覚異常、手足のしびれなどが発現します。死亡例は極めて稀であるものの、個人の体質や摂取量によっては一過性の歩行困難に陥るケースも報告されています。
注意すべきは、「加熱調理してもテトラミン毒は無毒化されない」という点です。熱に非常に強い水溶性毒素であるため、煮付けや焼き物にする場合であっても、刺身と同様に唾液腺を取り除く下処理が必須となります。