インターネット上の掲示板やSNSでは、「徳川家の子孫は今でも特別な特権を持っている」「日本政府から特別な手当が出ている」といった根拠のない憶測が散見されますが、これらは完全な誤認です。
前述の通り、日本国憲法第14条によって華族制度は完全に撤廃されており、法的な特権や国家からの優遇措置は一切存在しません。むしろ、当主たち自身の手記やインタビューからは、歴史的家名を背負うことによる特有の葛藤と苦労が浮き彫りになります。
先代当主の徳川恒孝氏は自著『徳川家の心構え』などで、「幼少期から『徳川の跡継ぎ』としての視線を浴び続け、電車に乗るのすら緊張した」という少年時代のプレッシャーを明かしています。また、全国各地の東照宮の例祭や記念式典、関係団体への出席など、年間を通じて膨大な公的務めを無報酬あるいは持ち出しで務めることも珍しくありません。「名門の末裔」という看板は、特権ではなく重責としての側面が極めて強いのです。