本作を語る上で欠かせないのが、主人公キキを演じた声優・高山みなみ氏の存在です。実は当初、高山氏は森の画家・ウルスラ役としてキャスティングされていました。しかし、キキ役のオーディションが難航した際、急遽テストを受けた高山氏の演技が見事にハマり、異例の「キキとウルスラの一人二役」が決定したという逸話があります。
少女から大人への過渡期にいるキキと、少し先を歩く自立した先輩女性ウルスラ。実質的にキキの未来像でもあるウルスラを同じ声優が演じたことで、二人の魂の共鳴がより鮮明に表現されることとなりました。
また、キキのトレードマークである「頭の大きな赤いリボン」にも重要な象徴性があります。魔女の伝統である地味な黒いドレスを義務付けられたキキに対して、母・コキリが旅立ちの日に結んでくれた赤いリボンは、親の愛情であると同時に「女の子としての個性と誇り」のシンボルでした。伝統を受け入れつつも、自分らしい彩りを大切にするキキの精神が、あのリボンに凝縮されています。