移動のスピードを犠牲にしたくないビジネスパーソンや旅行者にとって、最大の論点となるのが「のぞみ」と「さくら」の比較です。「最速ののぞみを選ぶのが正解」と思い込んでいる利用者が多い中、現場のベテラン鉄道ライターや頻繁に出張するビジネスパーソンの間では、あえて「さくら」を指名買いする動きが定着しています。
その最大の理由は、普通車指定席の居住性の圧倒的な差にあります。東海道・山陽新幹線を走る16両編成の「のぞみ」(N700系・N700S)は、指定席も自由席も横5列(3列+2列)配置です。これに対し、山陽・九州新幹線直通の8両編成「さくら」「みずほ」(N700系7000・8000番台)は、普通車指定席(4〜8号車)が横4列(2列+2列)の独立型大型リクライニングシートを採用しています。
シート幅は約460mmから約510mmへと大幅に拡大され、グリーン車に匹敵する重厚なモケット素材と木目調の内装が施されています。「隣の人と肩が触れ合うストレスから解放され、PC作業の疲労度が全く違う」という利用者の声は後を絶ちません。
所要時間を見ても、博多〜広島間の「のぞみ」の平均所要時間が約1時間04分であるのに対し、「さくら」は約1時間10分前後。その差はわずか6分程度です。さらに料金面では、「のぞみ・みずほ」には特急料金に加算額(博多〜広島間は320円)が上乗せされるため、「さくら」の指定席は9,100円と割安になります。わずか6分の時間差を受け入れるだけで、数百円安く、なおかつグリーン車並みのシートが手に入る計算です。