ハワイの食カルチャーを語る上で、1990年代初頭のパラダイムシフトを外すことはできない。ロイ・ヤマグチやアラン・ウォンをはじめとする12人の気鋭シェフが立ち上げた「ハワイ・リージョナル・キュイジーヌ」——いわゆるパシフィック・リム・キュイジーヌの誕生である。彼らは当時ホテルで主流だった型通りの欧米料理に反旗を翻し、地元産の魚介や野菜にフランス料理の技法とアジアの調味料を融合させた。
この先人たちのパイオニア精神は、次世代の若手シェフたちへ確実に受け継がれている。かつてロイ・ヤマグチやアラン・ウォンが切り拓いたフュージョンの地平は、さらに自由度を増した。フィリピンの酸味豊かなシニガンスープの技法を用いたセビーチェや、韓国の発酵文化を組み込んだ肉料理など、よりエッジの効いた現代的な解釈へと進化を遂げている。