アブによる咬傷被害を受けた場合、初動のスピードがその後の腫れや痒みの治まりを大きく左右します。野外現場で推奨される標準的な応急処置手順は以下の通りです。
1. 患部を流水で洗い流し毒素を絞り出す
流水(清潔な水)で患部をしっかりと洗い流しながら、傷口周辺を圧迫して唾液成分を物理的に押し出します。ポイズンリムーバーを携行している場合は直ちに使用するのが理想的です。
2. 強めのステロイド外用薬を塗布する
抗ヒスタミン成分だけでなく、炎症を強力に抑えるステロイド軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステルや吉草酸ベタメタゾンなど)を患部に塗布します。市販薬であれば「指定第2類医薬品」に分類されるステロイド配合軟膏が有効です。
3. 保冷剤や氷で患部を冷却する
ハチ毒と異なり、アブの唾液による炎症反応は冷やすことで毛細血管を収縮させ、腫れの拡大と痒み物質の拡散を抑制できます。温める行為は痒みを増悪させるため禁忌です。
決してやってはいけないのが「爪で患部を掻き壊す」ことです。傷口から黄色ブドウ球菌などが侵入し、蜂窩織炎(ほうかしきえん)やとびひなどの二次感染を引き起こすと、治癒までに数ヶ月を要する傷痕になってしまいます。