日本国内の住宅でシェアの大部分を占めるビニル壁紙は、耐久性や防汚性に優れた極めて優秀な建材だ。しかし、この利便性の裏に大きな落とし穴が潜んでいる。樹脂特有の光沢感が、人工照明や日光の角度によって予期せぬぎらつきを生む点だ。
多くの施主が見落とすのは、南向きのリビングと北向きのリビングでは同じ壁紙が全く別の表情を見せるという物理的事実である。南からの強い直射日光は色を完全に飛ばし、北側の安定した光は色味を沈ませて暗く見せる。手のひらサイズのサンプルを机の上に置いて眺めたところで、垂直な壁面に立ち上がった際の光の乱反射を予測することは不可能に近い。必ず最低でもA4サイズ以上の実物を取り寄せ、実際の壁に貼り付けた状態で、朝・昼・夜の光の変化を観察する執念が欠かせない。