古典的な言葉遊びの代表格である「しりとり」において、「な」は勝敗を分かつ最大の激戦区だ。相手が前の単語を「さかな」「ばなな」などで終え、こちらに「な」を渡してきた瞬間、勝負は一気に加速する。
即座に相手を追い詰めるなら、相手の選択肢を狭める語尾を意識しなければならない。「な」から始まって、相手が詰まりやすい「る」「ぬ」「む」に着地させる戦術だ。たとえば「ナツメグ」「ナパーム」「ナンバー」「生温い(なまぬるい)」といった単語は、相手の持ち駒を一瞬で奪い去る切れ味を持つ。濁音や半濁音への誘導、あるいは日本語において語頭になりにくい文字へパスを出すことで、相手の思考時間を一気に削り取れる。
反対に、持久戦を狙うなら名詞のバリエーションで圧倒するのが定石となる。「ナマズ」「南京錠(なんきんじょう)」「薙刀(なぎなた)」「軟骨」「生春巻き」。生活に根ざした具象名詞をよどみなく繰り出すリズム感こそが、相手に精神的プレッシャーを与える無言の武器になるのだ。