視覚的なショックにとどまらず、精神の奥底をじわじわと揺さぶる作品として記憶されるのが『ドラえもん のび太と鉄人兵団』と『ドラえもん のび太の夢幻三剣士』だ。『鉄人兵団』では、鏡面世界という誰一人として存在しない無人の地球で、着々と進められる地球侵略の現実味が描かれた。少女型ロボット・リルルの心の葛藤や「自らの存在が歴史から消失する」というあまりにも切ない結末は、恐怖と感動が混ざり合う複雑な感情を子どもたちに残した。
一方、『夢幻三剣士』はまさに異彩を放つダークファンタジーの傑作である。夢と現実の境界が怪しく崩れていく世界観の中で、のび太と静香が敵の攻撃を受けて倒れ、全身が灰となって風に散っていくショッキングなシーンは、当時リアルタイムで観た世代に語り継がれるトラウマアニメの真骨頂と言える。