陳建一氏の原点は、日本の「四川料理の父」と称された父・陳建民氏の教えにある。東京・赤坂に居を構える名店「赤坂四川飯店」は、本格的な中華料理の殿堂として、長年にわたり多くの政財界人や食通に愛されてきた。父が築いた伝統の基盤の上で、建一氏はさらなる挑戦を重ねた。
本場の四川料理は、容赦のない痺れ(麻)と辛さ(辣)が特徴だ。しかし、父の建民氏は日本の食材と日本人の味覚に寄り添うアレンジを加える工夫を重ねた。建一氏もまた、その教えを忠実に受け継ぎつつ、自身の豊かな感性でレシピを洗練させていった。厨房で繰り返された試行錯誤と絶え間ない味の追求こそが、看板メニューのクオリティを支え続けたのだ。