作者であるやなせたかしが人生の半生を捧げて紡ぎ出した物語の数々は、単なる子供向けのエンターテインメントという枠組みを軽々と踏み越えている。もともとはフレーベル館から刊行された月刊絵本として産声を上げたこの作品は、戦中・戦後の過酷な時代を生き抜いた作者自身の切実な体験と、ひもじい者に食べ物を分かち合うという至高の献身精神から誕生した。
施設の正式名称である香美市立やなせたかし記念館の館内には、彼の手によって描かれた貴重な原画や肉筆の詩文、アイデア段階のスケッチが数多く展示されている。深い愛と哲学に裏打ちされた児童文学としての原点と、それが豊かな色彩と動きを伴うアニメーションへと発展していった歴史的な歩みを間近で体感できる場所だ。