大後寿々花の真骨頂は、映画のスクリーンにとどまらず、日本のテレビドラマ史に残る名作群でも発揮されました。彼女のキャリアを振り返る上で外せない出演ドラマの代表作が、2003年から放送されたフジテレビ系ドラマ『Dr.コトー診療所』です。
彼女が演じたのは、第1期および2004年のスペシャルドラマに登場した少女・山内ひな役でした。過酷な離島医療を舞台にした重厚なヒューマンドラマの中で、過疎の村に生きる子どもの無垢さと、家族を巡る複雑な心情の機微を、押しつけがましさのない自然体の演技で体現しました。吉岡秀隆演じるコトー先生との温かな心の交流シーンは、多くの視聴者の涙を誘い、視聴率20%超を記録した同作の屋台骨を支える一因となりました。
さらに、大後寿々花が天才子役と呼ばれる理由を決定づけたのが、2007年の日本テレビ系ドラマ『セクシーボイスアンドロボ』です。松山ケンイチとのW主演となった本作で、彼女は「七色の声を操る14歳の少女・林二湖(ニコ)」という極めて難解なキャラクターに命を吹き込みました。
大人びたシニカルな語り口の裏に、思春期特有の脆さと優しさを同居させた演技は批評筋からも絶賛を浴び、第53回ザテレビジョンドラマアカデミー賞 助演女優賞を受賞しました。奇妙な友情で結ばれたオタク青年・ロボと少女・ニコのバディ関係は、カルト的な人気を博し、放送から長い年月が経った現在でもドラマフリークの間で「伝説の名作」として挙げられ続けています。