自衛隊の航空救難団は、もともとは戦闘機パイロットが敵地や海上に脱出した際の捜索救難(Combat SAR: 捜索救難)を主たる任務として発足した組織です。しかし、その卓越した全天候捜索能力と高度な医療救護能力から、大規模災害派遣や山岳・洋上での遭難救助など、民生支援の現場でも決定的な役割を果たしてきました。
警察の航空隊、消防の防災ヘリ、海上保安庁の特殊救難隊など、日本には優れた救助組織が複数存在します。しかし、台風直下の猛烈な突風、視界ゼロの濃霧、あるいは夜間の荒海や断崖絶壁といった、通常であれば飛行任務を断念するシチュエーションにおいて、最後の手段として災害派遣要請が出されるのが航空自衛隊の救難隊です。「彼らが出動できなければ、その命は消える」という極限状況こそが、自衛隊最後の砦と称される所以です。
名作アニメ『よみがえる空 -RESCUE WINGS-』のモデルとなったことでも広く知られていますが、フィクションの世界以上に過酷な現実が現場には横たわっています。隊員たちは「自分たちが命を落とせば救助を待つ遭難者も死ぬ」という重圧を背負いながら、1秒を争う救助任務を遂行しています。