来場者のリアルな反響を検証すると、満足度を大きく左右しているのは「施設内の重層的な体験設計」です。エレベーターで屋上に上がって景色を見るだけで終わらせてしまうと割高感が残る一方、順路全体を能動的に楽しんだ旅行者からは極めて高い評価が寄せられています。
最上階の屋上展望台「ひろしまの丘」は、ヒノキやスギの無垢材が敷き詰められた緩やかな傾斜のステップ構造です。靴を脱いで腰掛け、澄んだ風に吹かれながら原爆ドームや平和記念公園、遠く宮島の弥山(みせん)まで見渡す時間は、訪れた人々に深い静けさと感動を与えます。
12階の「おりづる広場」では、専用の折り紙を使って鶴を折り、タワー外壁を構成するガラス張りの「おりづるの壁」へ投入する体験が可能です。世界中から集まった人々の祈りが折り鶴となって壁の中に積み重なっていく様子は、まさに現在進行形のアートプロジェクト。自身がその一部になるという感覚は、旅行記やSNSでも「広島旅行で一番心に残る体験になった」と絶賛されています。
展望階からの帰路にも工夫が凝らされています。緩やかならせん状のスロープ「散歩坂(くるくるスロープ)」を歩いて降りるルートには、国内外のアーティストによる大型ウォールアートが展示されているほか、各フロアをつなぐ巨大なすべり台が併設されています。専用のマットに乗ってフロア間を一気に滑り降りるアトラクションは、大人から子どもまで思わず笑顔になる仕掛けとして評判です。
1階フロアには、地元食材をふんだんに取り入れた「握手カフェ(AKUSHU Cafe)」と物産館「人と樹」が広がります。握手カフェの人気メニューである広島レモンを使ったクラフトレモネードやオリジナルソフトクリーム、瀬戸内の海の幸を生かしたランチは、テイクアウトして屋上展望台へ持ち込むことも可能です。ただ景色を眺める場所ではなく、寛ぎと遊び心が融合した複合施設としての完成度が光ります。