多くの人が「0は偶数ではないかもしれない」と直感的に疑ってしまう背景には、日本の学校教育カリキュラムの変遷が大きく影響しています。文部科学省の学習指導要領における自然数と整数の違いの取り扱いが、認知のズレを生む根本原因です。
小学校算数の第5学年で「偶数と奇数」を初めて学習する際、教育現場では具体物(リンゴやおはじきなど)を使って「2つずつのペアに分けられる数」として導入されます。この段階では負の数や抽象的な概念を避けるため、基本的に「1, 2, 3…」という正の整数(自然数)をベースに教えるケースが主流です。教科書会社によっては「0を偶数に含める」と注釈を入れつつも、児童の混乱を防ぐために実質的な計算練習からは0を除外して扱う事例が少なくありません。
一方、中学数学に入ると「負の数」とともに整数全体の体系を学び、数直線上で $-4, -2, 0, 2, 4$ と並ぶ対称的な構造を理解します。このステップを踏むことで初めて「0は当然偶数である」という論理的一貫性を実感できるようになります。つまり、子どもの頃に刷り込まれた「数を数えるための算数」の記憶が、大人になっても違和感として残り続けているのです。