展示室を進むと、突如として激しい光の乱舞に視界を奪われます。ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー。大気の震えや立ち込める霧を油彩と水彩で幻惑的に描ききった巨匠の手腕は、実物を間近で見つめてこそ真価が露わになります。濁った灰色と黄金色がキャンバス上で火花を散らし、嵐の海へと見る者を引きずり込むような圧倒的な質量感。
その先には、ため息が出るほど精緻な筆致で描かれたラファエル前派の傑作群が並びます。神話や文学に取材し、道徳的頽廃と純粋な祈りをカンバスに定着させた画家たち。イギリス近代美術がたどった激動の軌跡が、単なる美術史の教科書的な説明を置き去りにし、生々しい熱量となって網膜に焼きつきます。