人工呼吸器、胃ろう、高カロリー輸液。現代医療の技術革新は、かつてなら命を落としていた状況でも脈拍を維持することを可能にした。だが、それは「生きている」状態なのか、それとも「死なせてもらえない」状態なのか。生命倫理学における最大の葛藤がここにある。
個人の自律を尊重する立場からは、苦痛からの解放と尊厳ある完了が主張される。一方で、障害者団体や宗教界からは、「安楽死の容認が、社会的な弱者に対する『死の圧力』へと転じかねない」という懸念の声も根強く存在する。終末期医療の臨床は、単なる治療の場を超え、人間の存在意義を問う最前線となっている。