マルチタレントの歴史を語る上で、大泉洋の足跡は極めて象徴的だ。北海道のローカル深夜番組『水曜どうでしょう』で見せた、飾らない愚痴と卓越した語り口。過酷なロケの中で鍛え上げられた人間味あふれるキャラクターは、瞬く間に全国の視聴者を虜にした。だが、彼の真の凄みはそこにとどまらなかった点にある。
演劇ユニット「TEAM NACS」での舞台経験を血肉としながら、重厚なNHK大河ドラマから軽妙なコメディ映画までを背負って立つ本格派俳優へと成長。さらには紅白歌合戦の司会で見せた圧倒的な進行力とサービス精神、歌手としての存在感に至るまで、大泉は自らのパーソナリティを軸に全方位の表現を成立させた。地方発の型破りなタレントが、今や日本エンタメ界の顔として君臨している事実は、マルチタレントの可能性を無限に広げた先例といえる。