物語の象徴的な舞台となるのは、福岡県に実在する志賀島。博多湾の入り口に位置し、陸繋島として独特の地理と歴史を持つこの地が、ドラマに圧倒的な説得力と孤立感を与えている。
現地での徹底したロケハンを経て選ばれたロケ地は、観光客の手がほとんど及ばない未公開スポットばかりだ。潮風に洗われた古びた漁港、夜霧に濡れる鬱蒼とした山道、そして波打ち際にひっそりと佇む廃屋。カメラが捉える風景の一つひとつが、登場人物たちの孤独や歪んだ記憶を雄弁に物語る。福岡県の雄大な自然風景と、是枝監督特有の繊細な光の切り取り方が融合したとき、画面から立ち上るディテールは観客を逃れられない緊迫感へと引きずり込む。