全国津々浦々に存在する団子の中でも、不動の地位を築いているのが甘辛い醤油餡をまとった一品だ。その起源を辿ると、京都の世界遺産・下鴨神社へと行き着く。鎌倉時代末期、後醍醐天皇が境内の御手洗池で水を掬い上げた際、最初に大きな泡が一つ、続いて四つの泡が浮き上がったという伝承が残る。
この泡の姿を人の頭と四肢に見立て、無病息災を祈願する厄除けの供物として作られたのが、元祖たるみたらし団子である。串の先の一つだけが離れて刺されている独特の形状は、まさに人間の五体を模したものだ。神仏への祈りから始まったこの神饌菓子は、やがて門前の茶屋を通じて庶民の口へと届き、現代へと続く甘辛い食の原風景を形作った。