本作が異彩を放つ最大の要因は、重厚なSFサスペンスの緊迫感と、実在の出来事を冷静に追うドキュメンタリーの手法が高次元でハイブリッド化されている点にある。架空の事件を追うサスペンス劇の背後で、現実のカルチャー史における「F」という記号の変遷が不気味にオーバーラップしていく構造だ。
日本のポップカルチャーにおいて「F」は特別な意味を持ってきた。国民的マンガ家である藤子・F・不二雄の生み出した温かみある空想世界から、全世界を熱狂させたアニメーション作品ドラゴンボールZ 復活の「F」における破壊と再生の象徴まで、表現者たちはこの「F」というアルファベットに多様なイマジネーションを投影してきた。『f 研究』はそうした集大成的な文化的背景を踏まえつつ、その裏に隠された未知の現象へと観客を誘う。