内痔核の進行度は、国際的にも広く用いられている「ゴリガー分類(Goligher分類)」に基づく脱肛の進行ステージによって客観的に評価されます。自身の現在地を把握することが、手遅れを防ぐための第一歩です。
第1度は、血管クッションが腫れているものの、肛門の外には脱出しない初期段階です。排便時に少量の出血が見られる程度で、生活改善や外用薬によって改善が期待できます。第2度になると、排便時にいぼが外へ飛び出すものの、排便が終われば「自然に元の位置へ戻る」状態になります。多くの人がこの段階で異変に気付きながらも、元に戻る安心感から受診を見送ってしまいます。
危険信号となるのが第3度です。排便時に脱出した痔核が自然には戻らず、「指で押し込まないと戻らない」段階へと悪化します。クッション組織を支える支持靭帯(パークス靭帯)が断裂・変性しているため、歩行や重い荷物を持った拍子にも脱出するようになります。そして最終ステージである第4度は、「押し込んでもすぐに飛び出してくる」、あるいは「完全に外に出たまま戻らない」状態です。
特に第4度や巨大化した痔核が肛門括約筋で締め付けられると、「嵌頓(かんとん)痔核」と呼ばれる血流遮断状態に陥り、激痛と壊死の危険を伴う救急受診が必要となります。したがって、肛門科の受診目安として絶対に覚えておくべき防衛ラインは、「指で戻す必要が生じた(第3度)」瞬間、もしくは「痛みがなくても鮮血便が週に複数回続く」時点です。根治術の代表格である痔核結紮切除術や、メスを使わない四段階注射法(ALTA療法)など、現代の医療技術であれば体への負担を抑えた治療選択が十分に可能です。