チック症における「パチパチと素早くまばたきをする」「目を強くギュッと閉じる」といった動作は、医学的に単純運動性チックに分類されます。その根本的な原因は、脳の運動制御を司る「大脳基底核」を中心とした神経回路(ドーパミン作動性神経系など)の未熟さや一時的な機能異常にあると考えられています。
小児期は脳神経の発達が目覚ましい一方で、興奮や緊張を抑制するブレーキ機能が未完成です。そのため、本人の意思とは無関係に運動指令が誤作動し、目や顔面の筋肉が無意識に収縮してしまいます。「癖(くせ)」のように見えますが、本人が意図して行っているわけではないため、自力で完全にコントロールすることは極めて困難です。
また、チック症とストレスの関係については長年議論されていますが、ストレスそのものが発症の根本原因というわけではありません。もともと神経学的な素因(体質的な起こりやすさ)を持っている子どもに対し、環境変化や心理的負荷、あるいは強い興奮・疲労が「症状を顕在化・増悪させるトリガー」として作用することが分かっています。新学期のクラス替え、発表会、習い事のプレッシャーだけでなく、ゲームへの熱中やテーマパークで遊んだ後の高揚感なども発症のきっかけになり得ます。