なぜ、あれほど正確だった時間指定が遅れるようになったのか。現場の構造的要因を紐解くと、主に3つの理由が浮かび上がる。
第一に、「配送密度の変化とルート最適化アルゴリズムの限界」だ。AIによる最適ルート作成が導入されているものの、現場での工事、急な路上駐車、エレベーターの待ち時間といった突発的なタイムロスまでをAIが完璧に予測することは不可能である。
第二に、「再配達ゼロ化に向けた置き配優先施策との摩擦」だ。対面手渡しを前提とした時間指定荷物と、置き配指定の荷物が混在することで、ドライバーの動線が複雑化し、1件あたりの滞留時間が伸びている。
そして第三に、ドライバー自身の疲弊だ。休憩時間の厳格な取得が義務付けられたことで、これまで「無理をしてでも時間内に配り切る」ことで成り立っていた現場の精神論が通用しなくなった。時間切れとなった荷物は、安全配慮の観点から持ち戻りや翌日配送へと回されるケースが増加している。