なぜオリーブオイルやマヨネーズではなく、アボカドなのか。鍵を握るのは、果肉の7割以上を占める不飽和脂肪酸、とりわけオレイン酸だ。
人工的に精製された油とは異なり、アボカドの脂質は微小な天然のエマルション(乳化状態)として果肉細胞の中に閉じ込められている。これが咀嚼によってトマトの果汁と混ざり合うと、消化管内で自発的に微小なミセル(親水性と親油性を持つ球状集合体)を形成する。リコピンはこの脂質カプセルの中にすっぽりと包み込まれ、小腸の粘膜細胞へとダイレクトに届けられる仕組みだ。
酸化ストレスと戦うオレイン酸自体の抗炎症作用と、リコピンがもたらす活性酸素の消去能。双方が手を取り合うことで、血管内皮の柔軟性維持から紫外線ダメージによるコラーゲン分解の抑制まで、驚くべきアンチエイジングのシナジーが連鎖する。ただの満腹感ではない。細胞のサビ止めを身体の奥底へ流し込む作業に他ならない。