ミュージアムとは何か?国際定義の激変と博物館・美術館の決定打

ミュージアムとは何か?国際定義の激変と博物館・美術館の決定打

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ミュージアムの歴史は、特権階級の私的空間から大衆への開放の歴史そのものです。紀元前3世紀のエジプトに建設されたアレクサンドリアのムセイオンは、学者たちが集う研究所兼図書館でした。中世からルネサンス期にかけては、王侯貴族や富裕層が珍奇な動植物標本や美術品を一堂に集めた「ヴンダーカンマー(驚異の部屋)」へと姿を変えます。

これらが一般市民に開かれた近代的な公共施設へと変貌を遂げたのは、18世紀のイギリス(大英博物館の設立)やフランス革命後のルーヴル美術館の公開が契機でした。「万人のための教育機関」として確立されたミュージアムは、20世紀に専門分化を極め、そして現在では「社会を癒やし、つなぐインフラ」としての役割が前面に出ています。

特に世界的な注目を集めているのが、社会的処方(Social Prescribing)におけるミュージアムの活用です。英国やカナダを皮切りに、医師が孤立や軽度の抑うつに悩む患者に対して「美術館への定期的な訪問」を処方箋として出す取り組みが定着し、日本国内の先進的な自治体でも医療・福祉とミュージアムの連携協定が相次いでいます。展示を鑑賞して得られる知的刺激と深いリラクゼーションが、人々の孤独を癒やす重要な社会的処方薬として機能し始めています。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。