病を乗り越えた渡辺謙が、世界へとその翼を広げた決定打が2003年公開のハリウッド映画『ラストサムライ』でした。エドワード・ズウィック監督が手掛けた本作で、彼はトム・クルーズ演じる主人公オールグレンと心を通わせる反乱軍の長・勝元盛次役を演じました。
オーディションの場において、渡辺謙は単に台詞を英語でこなすだけでなく、武士道の気高さ、静寂の中に秘めた覚悟を身体全体で表現し、監督やプロデューサー陣を完全に圧倒しました。英語力への不安を短期間の猛特訓で克服し、現場ではトム・クルーズと対等のパートナーシップを築き上げました。
映画が世界的な大ヒットを記録すると、渡辺謙の演技は国際的にも絶賛を浴び、第76回アカデミー賞助演男優賞、第61回ゴールデングローブ賞助演男優賞にノミネートされる快挙を達成。これを足がかりに、『SAYURI』(2005年)、『硫黄島からの手紙』(2006年)、『インセプション』(2010年)、そしてミュージカル舞台『王様と私』(トニー賞主演男優賞ノミネート)へと続く、日本人俳優として前人未到の国際的キャリアを切り拓いていきました。