子育て世代が集うSNSやオンラインコミュニティでは、「ベビーカーをカゴに突っ込んで走ったら段差でバランスを崩して転倒した」「荷台に縛ったベビーカーが走行中の振動で車輪に巻き込まれそうになった」といったヒヤリハット体験談が後を絶ちません。なぜ、これほどまでに危険なのでしょうか。
工学的な検証データを紐解くと、自転車のフロントバスケットに約5〜8kgのベビーカーを載せた場合、重心位置が標準設計値よりも上部かつ前方へ大幅にシフトします。これにより、低速走行時のハンドル復元力が失われ、少しの路面ギャップでハンドルが急激に取られる「シミー現象」に似た制御不能状態に陥ります。
消費者庁や国民生活センターが公表している乳幼児の自転車同乗中事故データによると、転倒事故の約6割が「停車時または発進・低速走行時」に発生しています。子乗せ自転車に子どもを座らせた状態でベビーカーを無理に積載すると、総重量は60〜70kgを超え、保護者の腕力だけで車体を支え切ることは物理的に不可能です。転倒時に子どもが地面に頭部を強打する重大事故を防ぐためにも、無理な積載による移動の危険性を過小評価してはなりません。