ダチョウの卵を初めて手にした人が最も衝撃を受けるのが、その表面の質感と異様な硬さです。指で弾くと「カチカチ」と磁器のお椀を叩いたような硬質な音が響きます。ダチョウの卵の殻の硬さは生体力学の結晶であり、厚さは鶏卵の5倍以上となる約2mm。過酷なサバンナで外敵の牙や爪から中身を守り、体重100kgを超える親鳥が抱卵しても潰れないよう進化を遂げた結果です。
実験として大人が両足を揃えて卵の上に乗っても割れることはなく、垂直方向からの圧力には70kg〜100kgもの耐荷重を発揮します。そのため、キッチンのシンクの縁やフライパンの角に打ち付けたところで、卵ではなく調理器具側が凹むことになりかねません。
そこで重要になるのが、正しいダチョウの卵の割り方です。現場で実践されている代表的な手法は以下の2通りに大別されます。
- 豪快に中身を取り出す方法(金槌・キリ・ノコギリの活用):卵の中央付近にノミやキリ、マイナスドライバーの先端を当て、金槌で軽く小刻みに叩いて小さなヒビを入れます。そこを起点に周囲へ一周するように丸くヒビを広げ、ノコギリの刃やスプーンの柄を差し込んで蓋を開けるように外します。
- 殻をエッグクラフトとして完全保存する方法:卵の上下どちらか一方にドリルやキリで直径1〜1.5cmほどの穴を開けます。そこから清潔な菜箸やバーベキュー用の串を差し込んで黄身を突き崩し、ストローや市販の空気入れで内部に空気を送り込むと、内圧によって白身と黄身が勢いよく押し出されます。洗浄して乾燥させれば、ランプシェードや置物として半永久的に活用できます。
開封時は細かな殻の破片がボウルの中に混入しやすいため、大きめのザルで一度受けて中身を濾すと、調理時の不快なジャリジャリ感を防ぐことができます。